馬代金と回収率の話
皆さんは馬に出資するにあたり、いったい何を重要視されるでしょうか?
私は回収率です。維持費や月会費などのその他の費用はとりあえず置いておいて、馬体・動き・血統・馬代金などを総合的に勘案し、最低でも馬代金くらいはペイできそうかどうかを判断します。
この作戦で出資するようになったのは一昨年から。というのも、2018年度募集で手痛い目にあってしまったからです。
この年、私は2頭のロードカナロア産駒に出資しました。
・エルスネル(牡馬・母サンドミエシュ)募集価格3500万円
・ミスビアンカ(牝馬・母シャトーブランシュ)募集価格3500万円
です。アーモンドアイの活躍を見て、単細胞な私は何も考えずに
おっ、ロードカナロア産駒すごい走るな。いまのうちに出資しとかな!!
と思ってしまったんですね。この頃は牡馬と牝馬1頭ずつに出資したいと考えていたので、血統面で期待ができるシャトーブランシュの初仔を抽優で、エルスネルを一般枠で申し込んだのでした。エルスネルは小さかったことが敬遠されて満口にはなりませんでした。
するとなんということでしょう……エルスネルが未勝利のまま引退を余儀なくされるではないですか。最終的にはサラオクで235万円で落札されたものの、大幅に赤字です。
これを受けて、今後はしっかりと論理的に考えて出資しようと心に誓ったのでした。そして2019年度に出資したのがビジューブリランテ(父ディープブリランテ、総額1800万円)です。
なお、ミスビアンカは現役で頑張っていますので、まだまだ馬代金をペイできる可能性はあります。なかなか気難しいお嬢様で困ったものですが……。
2017年度募集馬の募集価格と回収率をプレイバック!
2017年度募集馬は2016年生まれとなりますので、現在は5歳です。募集価格トップ10と回収率トップ10を見ていきましょう。なお、追加募集の馬も含みます。
【募集価格トップ10】
競走馬名 | 性別 | 種牡馬名 | 繫殖牝馬名 | 厩舎 | 競走成績 | 馬代金(単位:万円) | 総獲得賞金(単位:万円) | 回収率(%) |
サラミス | 牡 | ディープインパクト | サロミナ | 池添学(栗東) | 8戦0勝 | 10000 | 603 | 6 |
リアオリヴィア | 牝 | ディープインパクト | リアアントニア | 角居勝彦(栗東) | 6戦0勝 | 7000 | 275 | 4 |
パラダイスリーフ | 牡 | ディープインパクト | シルキーラグーン | 木村哲也(美浦) | 3戦2勝 | 7000 | 2004 | 29 |
セリユーズ | 牝 | ディープインパクト | ミュージカルロマンス | 国枝栄(美浦) | 11戦3勝 | 6000 | 3939 | 66 |
ボニーゴールド | 牝 | ディープインパクト | キューティゴールド | 高野友和(栗東) | 2戦0勝 | 6000 | 0 | 0 |
ルデュック | 牡 | ハーツクライ | ヒッピー | 池江泰寿(栗東) | 6戦0勝 | 5000 | 510 | 10 |
シハーブ | 牡 | ゴールドアリュール | サマーハ | 藤沢和雄(美浦) | 6戦3勝 | 5000 | 3731 | 75 |
クーダルジャン | 牡 | オルフェーヴル | ルシルク | 戸田博文(美浦) | 3戦0勝 | 0 | 0 | 0 |
ハートスナッチャー | 牡(セ) | ダイワメジャー | スナッチド | 音無秀孝(栗東) | 5戦0勝 | 0 | 0 | 0 |
アーデンフォレスト | 牡 | ルーラーシップ | ロザリンド | 藤原英昭(栗東) | 9戦3勝 | 3500 | 4027 | 115 |
【回収率トップ10】
競走馬名 | 性別 | 種牡馬名 | 繫殖牝馬名 | 厩舎 | 競走成績 | 馬代金(単位:万円) | 総獲得賞金(単位:万円) | 回収率(%) |
ディアンドル | 牝 | ルーラーシップ | グリューネワルト | 奥村豊(栗東) | 18戦6勝 | 1600 | 17988 | 1124 |
ヒンドゥタイムズ | 牡 | ハービンジャー | マハーバーラタ | 斉藤崇史(栗東) | 14戦5勝 | 1800 | 12494 | 694 |
ウィクトーリア | 牝 | ヴィクトワールピサ | ブラックエンブレム | 小島茂之(美浦) | 7戦3勝 | 2800 | 9859 | 352 |
シングルアップ | 牡 | キンシャサノキセキ | ラフアップ | 寺島良(栗東) | 18戦3勝 | 1600 | 4360 | 273 |
パイロテクニクス | 牡 | パイロ | ショウナンハトバ | 武藤善則(美浦) | 12戦2勝 | 1600 | 4001 | 250 |
ブランノワール | 牝 | ロードカナロア | プチノワール | 須貝尚介(栗東) | 19戦4勝 | 3500 | 7573 | 216 |
スイープセレリタス | 牝 | ハーツクライ | スイープトウショウ | 藤沢和雄(美浦) | 16戦4勝 | 3000 | 6375 | 213 |
クレッセントムーン | 牡 | ヘニーヒューズ | スカイクレイバー | 高野友和(栗東) | 15戦3勝 | 2000 | 4239 | 212 |
クリッパークラス | 牝 | スクリーンヒーロー | ロイヤルクリッパー | 武市康男(美浦) | 10戦2勝 | 1400 | 2813 | 201 |
マイエンフェルト | 牝 | ハービンジャー | アーデルハイト | 池添学→杉山佳明(栗東) | 18戦3勝 | 1800 | 3456 | 192 |
募集価格トップ10のうち、上位を占めているのはディープインパクト産駒。しかし軒並み不振に終わりました。唯一アーデンフォレストのみが馬代金を回収できています。
一方、回収率トップ10のうち、2000万円以下の馬が多いことがわかります。やはり馬代金が安ければ、その分ペイできる確率は高いといえそうです。
2018年度募集馬の募集価格と回収率をプレイバック
2017年生まれ、現在4歳の世代の成績はどうだったのか。募集価格トップ10と回収率トップ10を見ていきましょう。追加募集の馬も含みます。
【募集価格トップ10】
競走馬名 | 性別 | 種牡馬名 | 繫殖牝馬名 | 厩舎 | 競走成績 | 馬代金(単位:万円) | 総獲得賞金(単位:万円) | 回収率(%) |
モーソンピーク | 牡 | ディープインパクト | モシーン | 国枝栄(美浦) | 5戦2勝 | 15000 | 2159 | 14 |
セントオブゴールド | 牡 | ディープインパクト | キューティゴールド | 木村哲也(美浦) | 8戦2勝 | 10000 | 3711 | 37 |
リズムオブラヴ | 牝 | ディープインパクト | ミュージカルウェイ | 藤原英昭(栗東) | 2戦1勝 | 8000 | 510 | 6 |
レクセランス | 牡 | ディープインパクト | エクセレンスII | 池添学(栗東) | 9戦3勝 | 8000 | 4345 | 54 |
ルナシオン | 牝 | ディープインパクト | ピラミマ | 藤沢和雄(美浦) | 6戦3勝 | 8000 | 2530 | 32 |
サリオス | 牡 | ハーツクライ | サロミナ | 堀宣行(美浦) | 9戦4勝 | 7000 | 34439 | 492 |
リアアメリア | 牝 | ディープインパクト | リアアントニア | 中内田充正(栗東) | 11戦3勝 | 7000 | 10660 | 152 |
アトリビュート | 牝 | ディープインパクト | ブラックエンブレム | 高野友和(栗東) | 11戦2勝 | 6000 | 3130 | 52 |
テルツェット | 牝 | ディープインパクト | ラッドルチェンド | 和田正一郎(美浦) | 7戦5勝 | 5600 | 9382 | 168 |
クロワルース | 牝 | ディープインパクト | ルシルク | 古賀慎明(美浦) | 6戦0勝 | 5500 | 120 | 2 |
【回収率トップ10】
競走馬名 | 性別 | 種牡馬名 | 繫殖牝馬名 | 厩舎 | 競走成績 | 馬代金(単位:万円) | 総獲得賞金(単位:万円) | 回収率(%) |
ラウダシオン | 牡 | リアルインパクト | アンティフォナ | 斉藤崇史(栗東) | 13戦5勝 | 2500 | 26976 | 1079 |
サリオス | 牡 | ハーツクライ | サロミナ | 堀宣行(美浦) | 9戦4勝 | 7000 | 34439 | 492 |
オーソリティ | 牡 | オルフェーヴル | ロザリンド | 木村哲也(美浦) | 9戦4勝 | 4000 | 17395 | 435 |
ミステリオーソ | 牡 | パイロ | ミステリアスオーラ | 武幸四郎(栗東) | 10戦3勝 | 1600 | 4751 | 297 |
アルコレーヌ | 牝 | ゴールドアリュール | マチカネタマカズラ | 奥村豊(栗東) | 11戦3勝 | 1600 | 4718 | 295 |
ギルデッドミラー | 牝 | オルフェーヴル | タイタンクイーン | 松永幹夫(栗東) | 13戦2勝 | 3500 | 8073 | 231 |
シェダル | 牡 | ゴールドアリュール | マイティースルー | 栗田徹(美浦) | 9戦4勝 | 2500 | 5106 | 204 |
ルコントブルー | 牝 | キズナ | シェアザストーリー | 勢司和浩(美浦) | 7戦3勝 | 1600 | 2980 | 186 |
テルツェット | 牝 | ディープインパクト | ラッドルチェンド | 和田正一郎(美浦) | 7戦5勝 | 5600 | 9382 | 168 |
リアアメリア | 牝 | ディープインパクト | リアアントニア | 中内田充正(栗東) | 11戦3勝 | 7000 | 10660 | 152 |
この年は高額馬が気を吐き、サリオス・テルツェット・リアアメリアの3頭が回収率トップ10にランクイン。また9頭が少なくとも1勝を挙げています。しかし全体的に見ると、やはり5000万円以上の馬代金を回収するのは至難の業といえるでしょう。
2019年度募集馬の募集価格と回収率をプレイバック
最後に、今年の3歳馬の成績を振り返ります。追加募集の馬も含みます。
【募集価格トップ10】
競走馬名 | 性別 | 種牡馬名 | 繫殖牝馬名 | 厩舎 | 競走成績 | 馬代金(単位:万円) | 総獲得賞金(単位:万円) | 回収率(%) |
ロンズデーライト | 牡 | ディープインパクト | ダストアンドダイヤモンズ | 池添学(栗東) | 2戦1勝 | 10000 | 510 | 5 |
エクスインパクト | 牡 | ディープインパクト | エクセレンスII | 尾関知人(美浦) | 3戦1勝 | 8000 | 657 | 8 |
ヘアケイリー | 牝 | ディープインパクト | ヘアキティー | 中内田充正(栗東) | 5戦0勝 | 7000 | 502 | 7 |
レゾンドゥスリール | 牡 | ハーツクライ | ローブティサージュ | 須貝尚介(栗東) | 4戦1勝 | 7000 | 810 | 12 |
ノックオンウッド | 牡 | Frankel | トゥアーニー | 堀宣行(美浦) | 4戦1勝 | 7000 | 1215 | 17 |
パラッツォレジーナ | 牝 | ディープインパクト | パレスルーマー | 斉藤崇史(栗東) | 5戦0勝 | 6000 | 130 | 2 |
トゥールアンレール | 牝 | ディープインパクト | トゥーピー | 木村哲也(美浦) | 3戦0勝 | 6000 | 110 | 2 |
ヴァイスメテオール | 牡 | キングカメハメハ | シャトーブランシュ | 木村哲也(美浦) | 5戦3勝 | 5500 | 6157 | 112 |
リュラネブラ | 牡 | ロードカナロア | リュラ | 国枝栄(美浦) | 6戦0勝 | 5000 | 51 | 1 |
ミスターサファリ | 牡 | ハーツクライ | サファリミス | 藤岡健一(栗東) | 3戦0勝 | 5000 | 110 | 2 |
【回収率トップ10】
競走馬名 | 性別 | 種牡馬名 | 繫殖牝馬名 | 厩舎 | 競走成績 | 馬代金(単位:万円) | 総獲得賞金(単位:万円) | 回収率(%) |
クールキャット | 牝 | スクリーンヒーロー | メジロトンキニーズ | 奥村武(美浦) | 6戦2勝 | 2500 | 6659 | 266 |
ジュディッタ | 牝 | ダノンレジェンド | メリーウィドウ | 石坂公一(栗東) | 5戦3勝 | 1200 | 2959 | 247 |
アナザーリリック | 牝 | リオンディーズ | アンソロジー | 林徹(美浦) | 6戦2勝 | 1400 | 3143 | 224 |
ピクシーナイト | 牡 | モーリス | ピクシーナイト | 音無秀孝(栗東) | 6戦2勝 | 3200 | 6990 | 218 |
ヴェールクレール | 牝 | リオンディーズ | ウルド | 高橋亮(栗東) | 6戦1勝 | 1400 | 1683 | 120 |
ヴァイスメテオール | 牡 | キングカメハメハ | シャトーブランシュ | 木村哲也(美浦) | 5戦3勝 | 5500 | 6157 | 112 |
ベッラノーヴァ | 牝 | エピファネイア | ベッラレジーナ | 金成貴史(美浦) | 4戦1勝 | 1600 | 1698 | 106 |
アリーヴォ | 牡 | ドゥラメンテ | エスメラルディーナ | 杉山晴紀(栗東) | 6戦2勝 | 3200 | 2375 | 74 |
アランデル | 牡 | ハービンジャー | ガラディナー | 手塚貴久(美浦) | 4戦1勝 | 2500 | 1726 | 69 |
シルブロン | 牡 | トーセンジョーダン | グレイシアブルー | 稲垣幸雄(美浦) | 5戦1勝 | 1500 | 967 | 64 |
まだ3歳なのでこれから数字は大きく変わってきますが、なんと現状では売れ残っていたクールキャットとアナザーリリックが回収率1位と3位という結果となりました。みんな見る目なさ過ぎですね(お前もな)。
☆★ネットオフ!20万冊以上から選び放題!紙の本のサブスク「タダ本」☆★まとめ
3世代の回収率を振り返ってきました。回収率を重視するのであれば、2000万円台以下の馬に出資するのがよさそうです。出資できたかは横に置いておいて、ディアンドル・ウィクトーリア・ラウダシオン・クールキャットの4頭が重賞を勝利。ラウダシオンはNHKマイルカップ(GI)も勝っています。
一方、高額馬に出資したからといって、重賞を勝てるというわけではなさそうです。3000万円以上の馬の中で、重賞を勝っているのはサリオス・リアアメリア・テルツェット・オーソリティ・ヴァイスメテオール・ピクシーナイトの6頭のみ。このうち、GIを勝っているのはサリオスだけです。
シルクというと、アーモンドアイ(募集価格3000万円)・インディチャンプ(募集価格3500万円)・ブラストワンピース(募集価格2000万円)・グローリーヴェイズ(募集価格7000万円)・サラキア(募集価格6000万円)・ダイアトニック(募集価格4000万円)など2016年世代(現6歳)の活躍がすさまじく、それが印象に残っている方も多いと思いますが、それ以降の馬に目を向けると、正直価格の割には……といった感じが否めません。
もちろん、いつまた爆発するかはわかりませんので、高額馬にチャレンジするのもよいと思います。ただ私のような資金力に乏しい零細一口馬主は、1~2000万円台の馬の中からダイヤの原石を見つけてほそぼそと楽しむというやり方が合っていそうです。