もう二度と武井厩舎に入る馬には出資しないと心に決めた話|ビジューブリランテの競走中止を受けて

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ミスティックグロウの思い出

むかしむかし、あるところにミスティックグロウという牡馬がいました。父は金色の暴君ことオルフェーヴル、母はミスティックリップス、所属は美浦の武井厩舎です。

ミスティックグロウは体質が弱く、事あるごとに熱を出したり、脚を痛めたりと、なかなかデビューできませんでした。

しかし獣医師免許の資格を持つ武井先生のもと、ミスティックグロウは手厚いケアを施されながら、少しずつ競走馬になるための訓練を積み重ねていきます。

そして3歳の6月、ついにデビュー戦を迎えたミスティックグロウは既走馬を相手に、見事初出走初勝利という劇的な勝利を飾ったのでした。

その後もミスティックグロウは持ち前の末脚を生かし、1勝クラス、2勝クラスと連勝を重ねます

ですが、徐々に父譲りの気性の荒さが開花。また、喉鳴りという競走馬にとって致命的な病を発症してしまったため、喉鳴り手術、そして去勢手術を受けることになります。

しかし手術後、そこにはもはやかつてのミスティックグロウの姿はありませんでした。勝ち切れない日々が続く中、ミスティックグロウは天栄での障害練習中に骨折。安楽死処分が下され、天へと旅立っていきました。合掌。

これが私の一口馬主人生において、はじめての安楽死処分です。順調にいけば、いつかは重賞を勝てると思っていただけにかなりショックでした。

とはいえ、ミスティックグロウの件に関しては武井厩舎について不満はありません。喉鳴り手術もやむを得ないものだと思いますし、去勢手術も競走寿命を延ばすためには避けて通れないものだったのかなと思います。

もちろん当時は去勢されることがショック過ぎて武井厩舎を恨むこともありましたが(笑)、海外では去勢はメジャーな手術ですし、気性が改善されて競走パフォーマンスが上がるのであれば、それに越したことはありません。もっとも、去勢をしたからといって気性が改善されないこともある点はデメリットといえますが。

ビジューブリランテの使い方に納得がいかない件

ビジューブリランテは父ディープブリランテ、母ビジュートウショウ、祖母が稀代の暴れ馬スイープトウショウ。ミスティックグロウと同じく、所属は武井厩舎です。

総額が1800万円と安価であったことにくわえ、スイープトウショウの血を引く点が出資の決め手です。また、ミスティックグロウの件もあったので、武井厩舎という点も当時はプラスに捉えていました。実際、新馬戦を快勝してくれましたからね。私にとって初めての新馬勝ちであり、いまでも思い出深いレースのひとつです。

しかし、その後は祖母スイープトウショウ譲りの気性の荒さが原因で勝ち切れない競馬が続き、ついには去勢されてしまいます。ミスティックグロウに続き、連続の去勢。武井厩舎は気性の荒い馬には去勢でしか対応ができないのかと憤慨もしましたが(笑)、レース中に無駄な体力を使ってしまえばゴールまでもちませんからね。種牡馬になれる才能を持ち合わせていない馬にとっては一戦でも長く走れることが大切ですし、これもまたやむを得ない選択だったといまでは納得しています。

とまぁここまでは武井厩舎に対してとくにそこまで嫌なイメージはありませんでした。ですが、本日7月3日福島8レースに出走したビジューブリランテの競走中止という結果により、もう二度と武井厩舎所属の馬には出資しないと心に誓った次第です。

まずは調教後のコメントをご覧ください。

武井亮調教師「29日に南Wコースで単走での追い切りを行いました。追い切るごとに段々と硬さが出て来ているので、今日は無理をさせない程度で折り合いの確認をメインにしました。道中は単走だったこともあり、むしろ進んで行かないくらいで折り合いは問題ありませんでしたね。ただ、動きはチョコチョコした感じで小さく、直線では乗り役が硬さを気にしてあまり出して行かなかったにせよ、ストライドが大きくなる感じは無かったです。むしろ小さいキャンターでピッチを上げていく走りで、これまでのビジューブリランテの走りとは異なる印象です。今週も乗ってもらった菅原明良騎手は、『先週も硬いと思いましたが、今日はそれ以上に硬さが目立ち、終いは手綱を放すと転んでしまうのではないかと思うほどでした。折り合いに関しては問題ないので、今回はレースを教えることをメインに騎乗したいと思います』と話していました。脚元は両前膝に張りはあるものの、熱感や触診痛は見られませんし、息遣いも良好です。気に掛かるのはやはり動きの硬さで、筋肉の硬さはそれほどでも無く、正直これと言った原因はもう一つ掴めませんが、ジョッキーもその点は気になると話していましたから、出来る限りのケアを行って改善を図っていきたいと思います。今回のレースの一番の目的は、無我夢中にならず平常心で走ることなので、まずはその点をクリアしていければと考えています」

シルクホースクラブより転載許可を得ています。無断転載はおやめください。

この時点で、菅原騎手はビジューブリランテの状態に明らかな違和感を覚えていました。そもそも調教後に「手綱を放せば転びそうになるくらい歩様が硬い」というコメントが出ることが異常だと思います。

どう考えてもレースに使える状態ではないことは明らかであるにもかかわらず、武井先生は出走を強行します。

Twitterでもつぶやきましたが、この時点で勝ち負けは完全に無理だなと感じていました。ただ一口馬主にはレース選択に関して口出しできる権利は一切ありませんからね。ただただ怪我をしないよう、無事に完走できるよう祈るのみでした。

ところが、レースではその不安が現実のものとなってしまいます

スタートから行きたがってしまったビジューブリランテを菅原騎手はなんとかなだめようとしますが、3コーナー過ぎで歩様に違和感を覚えたのか、そのままペースを上げることなく競走を中止するという残念な結果に終わってしまいました。

レース後のコメントは以下のとおりです。

武井亮調教師「調教では大人しくしていたのですが、競馬になるとテンションが上がってきてしまい、特に返し馬ではガーッと走って行ってしまいそうになりました。それでもノーコントロールになるほどでは無かったのですが、菅原明良騎手は止め際に硬さを感じたようです。レースになると馬に気持ちが入ることで、余計に歩様に気持ち悪さを感じたようで、最後は無理をさせずに競走を中止することとなりました。馬房に戻って診療所の獣医師に診てもらったところ、診断としては右前肢跛行ということです。ただ、触診でこれと言った反応は見られませんし、常歩では左右の歩様に特段の違いは見られず、今のところ大事に至るようなことは無かったので、その点ではホッとしています。会員様にはご心配をお掛けしたことに加え、この中間もよくケアしていたものの、歩様の硬さが影響してこのような結果となってしまい申し訳ございません。この後は時間が経ってから何かしらの症状が表に出てくる可能性もありますから、よく状態をチェックさせていただきます」

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もう怒りを通り越して、呆れるのみです。調教後のコメントで状態が万全ではないことは素人でもわかります。

競馬の世界は厳しく、勝てない馬は淘汰されてしまいます。なので勝つためにギリギリのラインを攻めた結果、怪我をしてしまうのはやむを得ないと思います。

だけど今回は違います。こんなひどい状態で、なぜ今日出走させる必要があったのか。GIならまだしも、1勝クラスですよ。怪我をしてしまう可能性が高い以上、一度牧場に戻して態勢を立て直す選択肢もあったと思うんです。怪我をしてしまったら、半年、1年といった長い期間を棒に振ってしまいます。ビジューブリランテのような1勝クラスをうろうろしているような馬では引退勧告をされてもおかしくはありません。

であれば、少しでも万全の状態でレースを迎えられるようにするのが厩舎としてのつとめだと思います。それがプロの仕事ではないでしょうか。

調教から乗っていた菅原騎手だったからこそ、途中でレースを止めるという選択をしてくれましたが、他の騎手だったらどうだったでしょうか。最悪の場合、命を落としていたかもしれません。

近走の結果が振るわないビジューブリランテの存在は武井厩舎にとってはただのお荷物かもしれませんが、私にとっては大切な出資馬の1頭です。

もしかしたら、ビジューブリランテはこれで引退を勧告されてしまうかもしれません。仮に現役を続けられたとしても、武井厩舎には預かってほしくない。それが、いまの私の正直な気持ちです。

もうこんな思いを味わうのは二度とごめんです。

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